親が亡くなり、遺された家がゴミ屋敷だった。その衝撃的な事実に直面した時、誰もがパニックに陥り、冷静な判断ができなくなるのも無理はありません。しかし、このような緊急事態においてこそ、感情的な行動は禁物です。誤った初動は、取り返しのつかない事態を招きかねません。では、ゴミ屋敷の相続人になったと知った時、まず最初に何をすべきなのでしょうか。その手順を冷静に確認していきましょう。第一に、そして最も重要なことは、「何もしない」ことです。特に、家の中のモノに勝手に触ってはいけません。良かれと思って遺品を整理したり、価値のありそうなものを売却したり、ゴミを処分したりする行為は、法律上、財産を相続する意思があるとみなされ、後から「相続放棄」ができなくなる可能性があります。まずは現状を維持し、深呼吸して落ち着くことが肝心です。次にすべきことは、「期限」を意識することです。相続放棄や、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を相続する「限定承認」の手続きには、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という厳格な期限が定められています。この時間は、あなたが思うよりずっと早く過ぎ去ります。この期限を念頭に置き、すぐに行動を開始する必要があります。そして、第三のステップとして、速やかに専門家に相談することです。自分一人で悩んでいても、解決策は見つかりません。相続問題に詳しい弁護士や司法書士に連絡を取り、現状を説明してください。専門家は、今後の選択肢(単純承認、相続放棄、限定承認)のメリットとデメリットを法的な観点から明確に示してくれます。また、財産調査の方法や、相続放棄をする場合の具体的な手続きについても、的確なアドバイスを与えてくれます。ゴミ屋敷の相続は、時間との戦いであり、情報戦でもあります。パニックから抜け出し、まずは「何もしない」「期限を意識する」「専門家に相談する」という三つの鉄則を守ることが、あなた自身を最悪の事態から守るための、最も確実な道筋となるのです。
ゴミ屋敷を相続してしまったら?まず何をすべきか