家の中で遭遇する可能性のあるゴキブリ。その幼虫も、種類によって見た目や特徴が異なります。日本で特によく見られ、家屋害虫として問題になりやすいのが「チャバネゴキブリ」と「クロゴキブリ」です。それぞれの幼虫の特徴を知っておくことは、被害状況の把握や適切な対策を立てる上で役立ちます。まず「チャバネゴキブリの幼虫」です。チャバネゴキブリは成虫でも1.5センチメートル程度と小型ですが、幼虫はさらに小さく、孵化したてはわずか2ミリメートルほどです。成長しても最大で1センチメートル程度にしかなりません。体色は淡い褐色から、成長するにつれて黒褐色へと変化します。最大の特徴は、胸部の背面に一対の淡い黄色の筋(縦線)が見られることです。この筋は、幼虫期を通じて比較的はっきりと確認できます。チャバネゴキブリは寒さに弱く、主に暖房設備のあるビルや家屋などの屋内で繁殖を繰り返し、一年中見られる可能性があります。繁殖力が非常に高く、薬剤への抵抗性も発達しやすいため、一度住み着くと駆除が非常に困難な種類です。次に「クロゴキブリの幼虫」です。クロゴキブリは成虫になると3センチメートルを超える大型のゴキブリですが、幼虫は孵化直後は白っぽく、すぐに脱皮して黒くなります。体長は数ミリメートルから始まり、脱皮を繰り返しながら2.5センチメートル程度まで成長します。幼虫期の特徴的な見た目としては、黒い体に白い(または黄白色の)横縞模様や斑点が見られる点が挙げられます。特に、胸部や腹部の縁に白い帯状の模様が入ることが多く、この模様は成長段階によって変化します。一見すると、ダンゴムシやワラジムシに似ていると感じる人もいるかもしれません。クロゴキブリは屋外と屋内を行き来する性質があり、主に春から秋にかけて活動が活発になります。屋外の植え込みや物置、排水溝などに潜んでいることも多いですが、餌や水を求めて屋内に侵入してきます。チャバネゴキブリほど屋内での繁殖力は高くありませんが、体が大きく存在感があります。このように、チャバネゴキブリとクロゴキブリの幼虫は、大きさ、色、そして特徴的な模様によって見分けることができます。どちらの幼虫であっても、家の中で見つけた場合は繁殖しているサインですので、種類に応じた適切な対策を早急に行うことが重要です。